何に注意を向けさせ関連付けて育成するか

今日は生徒の様子から,量的側面からはなかなか見えてこない質的側面の変容が浮き彫りになってきました。研究的な視点から言うと,量的・質的な混合研究の重要性を感じるとともに,実践者としてはこの「生徒の質的な変容」という要素を抜きにしてはならないものと思います。

 

最近教えた不定詞には3つの用法があるのですが,生徒の様子からは形容詞的用法,副詞的用法がなかなか使えるようにならない,と感じてきました。英作文テストをしてみても,生徒が使用するのはwant to, like toがほとんど。数回の変容を見てみても変化が見られませんでした。しかし,文法的知識として不定詞の理解はしている,というのが実情です。それがなぜなのか,というところが今日のポイントです。3用法の運用を育成していくにはどうしたらいいか,ということになるでしょうか。私の学校の生徒は適当に教えているとできるようにならない(教師が暗に意味していることを察知することがなかなか難しいので,ここまでかっていうくらいに「はっきり」と明示する必要がある)関連づけて丁寧に教えるとできるようになる!のだ(笑)という自戒の念を込めております。

 

まず私が考えたのは,注意力資源が影響しているのではないだろうか,という点について検討することとしました。

Limited capacity models of attention posit that humans have a finite set of attentional resources available at any given moment to perceive and take in the auditory and visual information that surrounds them. As such, humans develop mechanisms that allow them to selectively attend to incoming stimuli. ... Learners can only process and hold so much in their working memory before attentional resouces are depleted and working memory is forced to dump information to make room for more information. (Lee and VanPatten, 2007)

 

生徒が使用している用法と使用できていない用法との大きな違いとしてはformの位置情報があります。前者は文頭,後者は文末。生徒は文頭のformに主に注意を向けている,want to, like toというある程度discourse markerとして正確性も確かな語句に主に頼っている,のではないだろうか。また,to ~と表現するのに正確性にも不安があることも考えられるし,何よりもdiscourse markerにattentionが向き,文末のto~にfocusが向かないのではないだろうか。

 

ではどのように文末のformにfocusさせるかについては教育的示唆ということになるのでしょうが,その辺りをさらにまとめて論文としての体裁を整えていきたいと思います。

 

経験則から指導方法を模索するのではなく,明らかとなってきたことをもとに科学的な視点で根拠を示しながら考察していくことで指導のあり方に少しでも貢献できればと考えております。私の進むべき道はここだなと感じています。生徒は本当に色んなことを教えてくれる。できない,のは彼らの能力が問題なのではなく,指導方法を改善することで大きく変容させる可能性があると思う。個々の言語形式をどのように指導したら効果的か(白井,2014)についてさらに深めていきたいと思います。